神戸地方裁判所 昭和40年(わ)222号 判決 1966年7月18日
本籍
兵庫県川西市寺畑字北ノ山一八番地の二八
住居
右に同じ
会社役員
中地新吾こと
中地新樹
大正五年二月一四日生
右の者に対する所得税法違反被告事件について、当裁判所は検察官樋口禎志出席して審理を遂げ、次のとおり判決する。
主文
被告人を懲役六月及び罰金一〇〇〇万円に処する。
被告人において右罰金を完納できないときは金一〇万円を一日に換算した期間被告人を労役場に留置する。
本裁判確定の日から二年間右懲役刑の執行を猶予する。
訴訟費用は全部被告人の負担とする。
理由
(罪となるべき事実)
被告人は大鉄土地株式会社及び日本開発株式会社の各代表取締役をするかたわら個人で土地売買等の業を営むものであるが、右個人で土地を売買した所得につき所得税を免れようと企て、昭和三六年分における総所得金額は七、〇二六万六、二七八円、その所得税額は四一四一万四五九〇円であるのにかかわらず売上金を除外して所得を過少に申告し、或は売上金の一部を内妻田中千代子(后に婚姻入籍)名義に分割するなど不正の方法によりその所得を秘匿したうえ、昭和三七年三月一四日伊丹市伊丹字溝口七〇の三、伊丹税務署長に対し被告人の右三六年分における総所得金額を四八六万一五七一円、その所得税額を七九万六一〇〇円、さらに右田中千代子名義の同年度分の所得金額を四七〇万五四一〇円、その所得税額を一七四万六八〇円とそれぞれ虚偽の申告をし、もつて詐偽その他不正の行為により正当所得税額と申告所得税額との差額である三八八七万七八一〇円の所得税を不正に逋脱したものである。
なお、右に謂う被告人の所得の算定根拠及び各勘定科目の内容は別表(一)(二)のとおりである。
(証拠の標目)
一、所得額について(本件所得の算出は損益計算表によるものであるから別紙(一)(二)の損益計算書の勘定科目及びその内容別にその額の認定に供した証拠を掲げる)。
(一) 売上の項
1. 横浜関係土地の売上一億三一七三万四一〇三円について
イ 被告人の当公判廷における供述
ロ 中根靖の検察官に対する供述調書
ハ 小野塚の検察官に対する供述調書
ニ 当裁判所のなした証人遠藤勇に対する昭和四一年二月一日付尋問調書
ホ 押収してある土地売渡証書及び登記済証(証第四号の一ないし三及び第五号)、土地代金請求書(証第六号)、日本国有鉄道過支払請求書(証第一〇号)
ヘ 遠藤武の検察官に対する供述調書
ト 馬淵清三郎の検察官に対する供述調書
2. 大阪関係土地の売上六六八二万二六六六円について
イ 被告人の当公判廷における供述
ロ 日本国有鉄道大阪幹線工事局用地課徳永勉作成確認書
ハ 被告人作成の昭和三六年分個人の再評価税申告書写
ニ 中地千代子作成の昭和三六年分個人の再評価税申告書写
(二) 期首たな卸の項
1. 大阪関係土地代期首たな卸額三五二四万一〇〇〇円について
イ 片岡孝雄の検察官に対する供述調書
ロ 水谷信義の検察官に対する供述調書
ハ 花原政次の大蔵事務官に対する昭和三九年二月三日付及び二月二九日付質問てん末書並に検察官に対する全供述調書
ニ 森田甚三郎の大蔵事務官に対する質問てん末書
ホ 押収してある不動産売買契約書(証第一八号ないし二一号)及び中地融資関係書類(証第九号)
2. 右取得費用期首たな卸額一二八万四三四三円について
イ 大蔵事務官小原章作成の淀川府税事務所調査書類と題する書面
ロ 被告人作成の昭和三六年分個人の再評価税申告書
ハ 中地千代子作成の昭和三六年分個人の再評価税申告書
3. 代物弁済に供した土地代期首たな卸額二四八万一五〇〇円について
イ 花原政次の検察官に対する昭和四〇年二月二五日付供述調書
ロ 中西誠次の検察官に対する供述調書
ハ 本多正の大蔵事務官に対する質問てん末書
ニ 森田甚三郎の大蔵事務官に対する昭和三九年三月二五日付質問てん末書
ホ 中要の大蔵事務官に対する昭和三九年四月七日付質問てん末書
ヘ 遠藤勇の大蔵事務官に対する昭和三八年一一月一〇日付質問てん末書
ト 押収してある不動産売買契約書(証第二二号)
4. 右取得費用期首たな卸額八万五三三五円について
イ 遠藤勇の大蔵事務官に対する昭和三八年一一月一〇日付質問てん末書
ロ 司法書士中井敏夫作成の登録税及び手数料等の照会回答書
ハ 大蔵事務官小原章作成の淀川府税事務所調査書類と題する書面
(三) 仕入の項
1. 横浜関係土地仕入額八三三五万七五五〇円と一部埋立費一〇三万円について
イ 遠藤勇の検察官に対する供述調書及び当裁判所のなした同人に対する昭和四一年二月一日付及び同月二日付各尋問調書
ロ 小池正治の検察官に対する供述調書二通
ハ 中要の大蔵事務官に対する昭和三八年一一月七日付及び同三九年一月二三日付各質問てん末書並に当裁判所のなした同人に対する尋問調書
ニ 遠藤勇作成の昭和三八年九月一〇日付及び同三九年四月七日付確認書と題する書面二通
ホ 押収してある土地買付資金等(領収証)判取書(証第一二号)、買付資金領収証(証第一三号)、土地買付一覧表(証第二三、二四号)、日本開発関係契約代帳(証第二号)、領収証及び土地売買契約書(証第二八号の一ないし六二)、登記簿謄本等綴(証第二五号)、翰綴(証第八号)
ヘ 藤巻寛吉の検察官に対する供述調書
ト 市川善四郎の司法警察員に対する供述調書謄本
チ 金子進の検察官に対する供述調書
リ 吉田康造の大蔵事務官に対する質問てん末書
ヌ 加藤実の大蔵事務官に対する質問てん末書(二通)
ル 石川茂吉の大蔵事務官に対する質問てん末書
ヲ 加藤芳三の大蔵事務官に対する質問てん末書
ワ 田中治久の司法警察員に対する供述調書(謄本)
カ 伊藤正四の大蔵事務官に対する質問てん末書(二通)
ヨ 臼井保次郎の大蔵事務官に対する質問てん末書
タ 岩田秋正の大蔵事務官に対する質問てん末書及び司法警察員に対する供述調書(后者は謄本)
レ 岩田吉之輔の大蔵事務官に対する質問てん末書
ソ 山岸健明の大蔵事務官に対する質問てん末書(二通)
ツ 金子クハの大蔵事務官に対する質問てん末書
ネ 加藤吉弘の大蔵事務官に対する質問てん末書
ナ 関口敏夫の大蔵事務官に対する質問てん末書
ラ 臼井義常の大蔵事務官に対する質問てん末書
ム 金子リンの大蔵事務官に対する質問てん末書
ウ 飯倉米造の大蔵事務官に対する質問てん末書
ヰ 岩田吉之輔の司法警察員に対する供述調書(謄本)
ノ 金子太郎吉の大蔵事務官に対するてん末書
オ 伊藤真市の大蔵事務官に対する質問てん末書
ク 蔵方伊之助の大蔵事務官に対する質問てん末書
ヤ 加藤文三の大蔵事務官に対する質問てん末書
2. 本件以外土地仕入額八九万三二七四円
イ 被告人作成の昭和三七年分譲渡所得金額の計算書
(四) 期末たな卸の項
1. 横浜関係土地残地評価額一〇八五万四四五〇円について
イ 当裁判所のなした証人遠藤勇に対する昭和四一年二月一日付尋問調書
ロ 遠藤勇作成の昭和三九年一月二二日付及び同年四月七日付確認書と題する書面
ハ いずれも昭和四〇年二月一六日作成にかかる横浜地方法務局神奈川出張所登記官相原利一作成の登記簿謄本一一通及び同じく昭和四一年二月一六日右同人作成にかかる答記簿謄本一二通
2. 本件以外土地期末たなおろし評価額八九万三二七四円について
イ 前掲一(三)、2.に同じ
(五) 経費の項
1. 横浜関係土地取得経費五六〇万一五六四円について
イ 当裁判所のなした証人遠藤勇に対する昭和四一年二月一日付供述調書
ロ 遠藤勇作成の昭和三八年九月一〇日付確認書と題する書面
ハ 吉田鹿造の検察官に対する供述調書
ニ 高部喜作の大蔵事務官に対する質問てん末書
ホ 西山寿美の大蔵事務官に対する質問てん末書
ヘ 大蔵事務官池田優作成の調査書類と題する書面
ト 押収してある領収証綴(証第一五号)、同領収証綴(証第一三号)、土地買付資金等(領収証)判取書(証第一二号)
2. 大阪関係土地経費一五七七万二七〇〇円について
イ 水谷信義作成の領収証
ロ 被告人作成の昭和三六年分個人の再評価税申告書写
ハ 田中千代子作成の昭和三六年分個人の再評価税申告書写
ニ 押収してある中地融資関係書類(証第九号)
(六) 配当所得及び給与所得合計三一四万二二一六円について
イ 被告人の当公判廷における供述
ロ 被告人作成昭和三六年分の所得税確定申告書写
(七) 期首たな卸のうち、大阪関係土地取得費用における不認額五三〇円について
イ 大蔵事務官小原章作成の淀川府税事務所調査書類と題する書面
二 被告人の経歴及び職業等について
イ 被告人の検察官に対する二月九日付供述調書及び同人の当公判廷における供述
三 被告人及び田中千代子名義の所得額の申告について
イ 被告人作成昭和三六年分の所得税確定申告書写
ロ 田中千代子作成昭和三六年分の所得税確定申告書写
四 所得税算出の計算関係について
イ 大蔵事務官作成の脱税額計算書(昭和三六年分)と題する書面
五 所得の認識及び逋脱の犯意について
一、当裁判所のなした証人遠藤勇に対する昭和四一年二月一日付尋問調書及び同人の検察官に対する供述調書
一、当裁判所のなした証人中要に対する尋問調書及び同人の大蔵事官に対する九月一七日付一一月七日付及び一月二三日付各質問てん末書
一、証人川瀬祐臣の当公判廷における供述(第一回)
一、上枝実、小池正治の検察官に対する供述調書
一、被告人の検察官に対する全供述調書
(弁護人及び被告人の主張に対する判断)
前認定のとおり昭和三六年分における被告人の所得の内容は給与所得及び配当所得を除けば横浜関係及び大阪関係両土地の売上による所得である。
これに対する弁護人及び被告人の主張の要旨は
一 横浜関係土地の売上による所得は国鉄に売却した分のみ(即ち売却洩れの残土地六〇六坪を除く)を九三三〇万三三二〇円を仕入れ、かつ、その経費に六六六万九五六四円を要しているからこれを計算根拠にすべきであり、従つてまた右残地を期末たな卸欄に計上すべきではない。
二 大阪関係土地の売上は、大阪市東淀川区中島町七丁目五〇番地及び同五六番地の土地合計六三二坪の売上だけであつて、同五一番地、五八番地、七六番地の土地合計五八〇坪は被告人の売上ではなく、また、右譲渡による所得は事業所得ではない。
三 横浜関係土地の売上による所得を申告しなかつたのは、右申告に必要な契約書、領収証等の資料がなかつたためであつて逋脱の意図があつたものではない。
と謂うにある。
そこで右各点について以下に判断する。
第一点について
右主張は、押収してある売買一覧表(証第一一号)、土地買付資金等領収証判取書(証第一二号)、手数料領収証(証第一四号の全部及び証第一五号のうちの加藤友春と吉田康造各領収分)及び事件残地に関する登記簿謄本並に被告人の当公判廷における供述をその根拠にしているのであるが、前掲一、(三)1掲記の各証拠により本件土地の買付経過をみると、被告人は昭和三五年二月以降西武鉄道株式会社の依頼に応じ横浜居住の土地仲買人遠藤勇を通じて同地用辺の土地を約六万五〇〇〇坪にわたつて買受けていたところ、翌三六年三月頃から同会社の資金援助を受け国鉄新幹線軌道用地の買収を計画し、前同様遠藤を通じて右用地の積極的な買収を進めることとし、手数料として買収土地の売上価格に対する三パーセントを同人に支払う約としたこと、遠藤は右依頼に応じ右軌道用地予定図面から該当土地の所有者と買収交渉をなし、買収見込価格が判明すると当時日本開発株式会社の営業担当役員であつた中要にこれを報告し同人において国鉄と交渉し利益が見込まれると正式に遠藤において地主との間の買付契約書を作成してこれを買付けると同時に右中要により国鉄に売却され、かつ、被告人に報告されていたものであること、右買付に際しては原則として軌道予定用地に限られていたものの技術上一部用地外にまたがる部分も買付けざるを得なかつたものでその際右買収見込価格は中要においてメモされたうえ後日売買一覧表(証第一一号)に整理移記され、また、買付資金は買付を急速にする必要のある状況であつたことから土地買付資金等判取書(証第一二号)に押印のうえ被告人ないし中要より遠藤に包括的に交付されていたものであること、右買付に要した諸経費のうち証第一五号の領収証中加藤友春及び吉田康造各領収分は本件買付にかかる土地と無関係なものであること、本件買付の終了した昭和三六年末頃、前記遠藤勇より買付手数料の精算要求を受けた際被告人において売却できなかつた一部の土地(所謂残地)で決済して貰いたい旨回答していることの各事実を肯認することができる。
従つて弁護人らの主張の根拠であるところの前記売買一覧表記載の金額は単に買収見込価格に過ぎないものであり、また土地買付資金等判取書も后日精算の予定された包括的買付資金の交付を証するものにほかならず、実際に土地所有者に支払われた代金即ち仕入価格を示すものは前掲証拠以外には全く存しない。
これに対し被告人は当公判廷において右売買一覧表に記載の買付価格が真実の価格であると強く主張し前掲証拠中の契約書等は取引当時に作成されたものではなく後に遠藤らにおいてすりかえられたものであると述べ、また、前認定の証第一五号証中の加藤及び吉田両名領収分についても同人らが自ら否定していることを敢てこれに反することを主張し、残地の件に至つては前記売買一覧表の記載形式によつても、また、土地売買の一般取引からみても理解し難いような新幹線軌道用地のみの買付でこれ以外の部分は全く買付けていないと供述するなど全く合理性を欠く供述に終始しているのであつて前記認定事実と併せ考慮し到底これを信用することができず、さらに経費のうち証第一四号の領収証分については遠藤勇の大蔵事務官に対する昭和三九年一月二二日付質問てん末書に対比し、また、その他の経費(雑作料として三〇万円を松下幸郎に支払つている旨の供述)についてはこれを裏付ける資料もないのでいずれもこれを信用することができない。
第二点について
前掲一(二)ノ掲記の各証拠と被告人の検察官に対する二月一三日付及び二月一七日付各供述調書を綜合すると、本件大阪関係土地(但し大阪市東淀川区中島町七丁目七六番地を除く)は当初大鉄土地株式会社で買付けるため同社の代表者である被告人においてその所有者と交渉していたところ、所有者は個人でなければ売却しないと言うので結局便宜被告人が個人の資格で買受けることとし他に転売した際の売上の一定割合を同会社に手数料として納入することを条件に同会社取締役会において競業許可を受け、同会社より被告人に買付資金として金四〇〇〇万円の融資がなされたこと、本件土地の買付に際しては右資金が投入されすべて被告人においてその渉に当つたもので売主側もすべて買主は被告人であると信じ、また、右土地を国鉄に売却するに際してもその交渉は一切被告人の担当したところであること、后日売主より圧縮した価格どおりに税申告をなすことについて協力して貰いたい旨の名目で交付された金一三五万円もすべて被告人において取得していたこと等の事実が肯認できるので、右事実よりすれば本件土地は被告人において他に転売し利を得る目的で買受けたものであり、また、これを売却して所得を得たのも被告人であると認めるのが相当であり、しかして右所得型態はまさに事業所得そのものと解さなければならない。
以上認定に反する証人中地千代子及び被告人の当公判廷における供述は単に両名間の以前から残されていた債権関係の決済とそれまでの行きがかりからの融資による土地買入れであると称するのであるがその取引内容、数額の供述に不一致があるうえ極めて曖昧なものがあつて前記認定事実に照らし信用できず、また、本件土地の登記簿騰本における所有名義如何は右認定を左右するものではない。
第三点について
既に第一点に対する判断の項に認定したとおり、本件横浜関係土地の買付及び売却の直接の担当者は遠藤勇及び中要の両名であつて被告人は単にその報告を受けていたにとどまるのであるが、右の報告により被告人が右土地の売買による所得について正確な数額は確認できないまでも相当程度の所得のあつたことを認識していたと認むべきところ、さらに前記五掲記の各証拠によれば次の事実を肯認することができる。
即ち右売買は昭和三六年中をもつて終了したものであるところ同年分の所得税確定申告期限である同三七年三月一五日以前に既に被告人において中要に対し右土地の売買による所得税の申告をするので契約書、領収証等を整理するよう指示してこれを手交し一方遠藤勇も特に右売却に際しての代金受領人を身内の者二名としていたので同人等に所得税の課税を受けるのを虞れその申告につき被告人と交渉を開始し、被告人と課税額の軽減をはかるにつき種々の方法の研究協議を続けたのであるが、結局被告人の昭和三六年分における所得として申告せざるを得ないとの結論に達し、その頃既に整理の完了した前記契約書及び領収証等も申告期限である三月一五日被告人宛空輸到着したものであること、被告人の大阪関係土地売却による所得その他給与及び配当所得については右申告期限の前日である三月一四日川瀬祐臣に指示して申告書を作成申告させているのに、本件横浜関係土地の売却による所得については同人に指示した形跡の全く存しないこと、右申告期限后間もないうちにも被告人は遠藤勇等を日本開発株式会社東京出張所に呼び、再び課税額を軽減させる方途につき検討を続けていたことの諸事実を肯認できる。
以上認定事実よりすれば、前記所得税確定申告期限である昭和三七年三月一五日以前に既に被告人は本件横浜関係土地の売買による所得につき概括的にその数額を確認していたし、また契約書及び領収証等の資料を精査検討し、さらに経費等を調査すればさらに正確な数額を確認できる状況にあつたものの、専ら課税額の軽減をはかつてその差額を不正に逋脱せんことを企図し右申告期限にこれが所得につき申告をしなかつたものと認めるのが相当であり、右申告期限に正確な所得の数額についての認議に欠けるところがあつたとしても右は犯意を阻却するものではない。
右の認定に副う被告人の検察官に対する二月二七日付及び三月一日付供述調書は既に認定した各事実に徴し信用するに足り、これに反する同人の当公判廷における供述は措信できない。
よつて弁護人及び被告人の各主張はいずれも当裁判所の採用しないところである。
(法令の適用)
判示事実につき
昭和四〇年法律第三三号所得税法附則第三五条改正前昭和二二年法律第二七号所得税法第六九条第一項第二項(併科刑を選択)
労役場留置につき
刑法第一八条
懲役刑の執行猶予につき
同法第二五条第一項第一号
訴訟費用の負担につき
刑事訴訟法第一八一条一項本文
(裁判官 山田敬二郎)
別表(一)
<省略>
別表(二)
<省略>